TOP > 講演録 > 「子どもの安全を守る多職種連携:司法面接と医療」報告書
kouen

講演録

:北海道女性医師の会が開催した講演会のご紹介です。

講演会
「子どもの安全を守る多職種連携:司法面接と医療」報告書

kouen

本間内科医院 澤田香織

平成22年4月17日北海道女性医師の会総会の後、“子供の安全をまもる多職種連携:司法面接と医療”というタイトルで北海道大学 大学院文学研究科 仲真紀子教授より講演をいただきました。

kouen まず子供の性的被害に関して多くの問題点が指摘されました。子供は大人に何度も質問され、聞かれるたびに答えが変わっていくことがあるために、被害者でありながらうそつき呼ばわりされて二次被害にあっている。
<こどもの証言は信頼できないか?>
この問いに対して、以下のように沢山の考えるべき課題があるとのお話がありました。


(1)面接そのものが不適切であることが多い。
大人による誘導:「AかBか」、「はい いいえ」のClosedな質問を繰り返す。
そして圧力:「大変なことになっちゃうよ」。
さらに言い換え:「ぶつかった」を「さわられたの?たたかれたの?」と聞く。
こういった過程で、しらずしらずに大人が求める答えに変わっていくというのである。
子供が、情報をださない(答えない、知らない、わからない)脱線(全く違う話なる)抵抗(話したくない、マイクを引き抜く)否認(そんことなかった、うそだった)となると、大人は、ますます「話さないと大変なことになるよ」と圧力をかけることとなる。したがって面接者は落ち着いて情報収集することが求められる。

(2)子供たちは自発的には話してくれない。
3〜6歳では50%以下、7〜10歳では60〜70%、11〜14歳では60〜80%程度である。
イスラエルの調査では、家族が加害者の時はさらに低く50%程度であり、特に性的虐待の時は20%と非常に低い。

(3)子供の記憶能力の問題。
起きたことの記憶、特に時間、人物、感情などは低年齢になるほど非常に残りにくいといわれる。しかも被暗示性が強く、大人や権威のある人を信用し受け入れて、記憶を作り出してしまう。
英国の面接ガイドラインでは、こどもの司法面接は、自由に話させるが原則として1回のみとする。カウンセリングはせず、面接時間は年齢×5分、1対1で行うこと(他の職種はバックミラーで見ている)とされている。


最期に、実際の面接の手順を示されその意義についても触れて下さいました。面接の他、補強的証拠(写真、生物学的証拠メール、携帯電話履歴、日記など)が重要であること、医学的証拠(精液、性器の傷、身体の傷)が残っている確率は3%くらいと低いが、診察時に子供が初めて話し始めることがあること、また検査を受けることで、STD、HIV、妊娠などの心配を取り除き、「決してあなたは悪くない、汚れた体になったわけではない」というメッセージを伝えることが出来る、という意味でも重要であることが話されました。被害者の傷ついた心に寄り添い、きめ細やかな配慮を感じさせながら、わかりやすくお教えいただきました。司法面接のありかたを学び、今後私たちも何らかの形で支援者になっていきたいという思いを深めました。

懇親会の場でも話題になりましたが、子どもだけに限らず大人も、司法という場面では被害者は暗示に陥りやすいため、被害者(特に弱者)に対しては面接技術も含めて特別な配慮が必要と感じました。
大変貴重なお話を伺うことができ、出席者一同皆感激しておりました。
今後の仲真紀子先生のご健勝、ご研究のますますの発展をお祈り申し上げ、講演会の報告者とさせていただきます。



Link講演録トップ [ 目次 ] ページへ戻る

pagetopページTOPへ
COPYRIGHT@HOKKAIDO MEDICAL WOMEN'S ASSOCIATION. ALL RIGHTS RESERVED.