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講演録

:北海道女性医師の会が開催した講演会のご紹介です。

講演会『子宮頸がんは予防できる』報告書

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湯の川女性クリニック 小葉松洋子

kouen 平成21年12月に日本でも子宮頸がんワクチンが接種可能になったことをうけて、広く市民の皆様にもこのワクチンについて理解して頂くための講演会を平成22年6月26日に開催しました。講師として北海道対がん協会より若松邦子保健師から、子宮頸がん検診の最近の状況を、函館湯の川女性クリニック小葉松洋子医師からは、子宮頸がんの検診、治療にたずさわってきた経験を、そして札幌苗穂レディースクリニック堀本江美医師からは、実際のワクチン接種にあたってよく聞かれる質問を講演頂きました。
当日の内容をポイント毎にまとめました。

  • 現在北海道では(日本全体でも)若い女性の子宮頸がんが確実に増加している。原因は性経験の若年化と、低いがん検診の受診率である。

  • 子宮頸がんの原因はヒトパピローマウイルスの感染であるが、このウイルスは皮膚等に誰もが感染している可能性があるウイルスである。これが性交渉が始まることで子宮頸部に感染し、感染が持続すると細胞に異常が起こり、がんへと進んで行く。がん検診を定期的に受けていると、ウイルス感染や細胞ががんになる前の異常を発見できるので、子宮頸がんになることを予防できるが、現在この病気が増加している20代、30代の女性のがん検診受診率は非常に低い。

  • 性感染症と子宮頸がんの決定的違いは、性感染症は処女と童貞のカップルでは理論上ありえないが、純潔なカップルでもパピローマウイルスに感染することはありえる。したがって<純潔教育をしっかり守れば子宮頸がんにならない>という考えは間違いである。

  • 子宮頸がんワクチンは、自然には免疫がつきにくいヒトパピローマウイルスに対する抗体を作り、ウイルスが侵入しても感染しないようにするワクチンである。ただヒトパピローマウイルスには非常に多くのタイプがあり、現在接種されているワクチンは、子宮頸がんの原因となっているウイルスタイプの70%程度に有効と考えられている。

  • ワクチンはあくまでも感染の予防が目的のため、既にウイルスに感染している人への治療的な効果はない。しかし、性交渉がある限り新たなウイルスの侵入の可能性は常にあるので、日本産婦人科学会では45歳までの女性ならばワクチン接種を推奨している。

  • 公費負担の接種で小中学生が対象になっているのは、性交渉がまだ無く、抗体のできやすい年齢であり、この年齢で免疫を獲得すれば、若い女性の子宮頸がんが減ることは間違いないからである。

  • 任意で接種する場合、費用は1回15,000円以上で3回接種が必要なので、計45,000円以上必要である。

  • ワクチンの副反応は接種部位の筋肉痛が多く、それ以外の副反応は現在日本で使用されている他のワクチンと同程度である。

kouen 子宮頸がんは性交渉と関連する病気のため、性的にだらしない女性がなるというような間違った理解をしている方もいるかもしれません。
今回の講演会を通じ、子宮頸がんという病気を正しく理解してもらい、たとえワクチン接種をしなくても、がん検診をきちんと受診するだけでも病気の予防は可能だということを理解して頂けたなら、講演会を開催した甲斐があります。
幸いなことに、厚生労働省の来年度の概算要求にこのワクチンの公費接種の費用が盛り込まれたというニュースが流れてきました。

平成22年9月記



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