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講演録

:北海道女性医師の会が開催した講演会のご紹介です。
 

これからのキャリアを語る医師と学生の会
『地域医療の魅力を探る~地域でキャリア形成するには?』

北海道大学病院 長井 桂

日時:平成25年11月23日(土)
会場:札幌コンファレンスホール

kouen このシンポジウムは札幌医科大学と北海道大学合同で行っており、今年で3回目となります。今回のテーマは地域医療となり、4名の先生にそれぞれの立場でご講演いただきました。





■砂川市立病院 初期臨床研修医
 坂本 沙織 先生

自治医科大学を卒業され、初期臨床研修医2年目として砂川市立病院に現在勤務されています。自治医科大学では入学当時から地域医療の必要性やすばらしさに関しての教育が “洗脳”とも呼んでいいほど繰り返し行われるそうです。地域で自立して診療ができるようになるために、坂本先生はER型救急を行っている砂川市立病院を選びました。まさにそれは地域医療の縮図であり、風邪から多発外傷まですべて初期対応は自分で行う必要がありました。当初は消化器外科を目指していた先生ですが、フットワークが軽く臓器別にとらわれないで患者を受け入れてくれる総合診療医に魅力を感じて、総合内科を目指すようになったそうです。自分が求めている像より、地域で求められている自分に応えたいとの実感がこもった力強い言葉が印象的でした。研修は北海道内の様々な地域で9年間続きますが、その間何と出会えるか楽しみですとの前向きな言葉で締めくくっていただきました。

■寿都町立 寿都診療所
 中川 貴史 先生、中川 久理子 先生

北海道大学医学部をご卒業後、2005年から寿都診療所に勤務されています。貴史先生は寿都診療所所長であり、地域医療の第一線で輝かしくご活躍の先生です。2011年には、NHKのEテレ番組「櫻井翔の“いま そこにいる人々”命の現場」にご出演されました。人が普通にかかる病気全般に対応するのが「家庭医」だと語り、患者さんの背景をもきめ細かく聞き取り、その家族関係の中から病気との関係を素早く診察する様に心がけているそうです。1000人規模の住民の健康を守り、専門医の診察が必要な少数の患者さんを見極める必要があること、地域に溶け込み、生活環境の改善を浸透させていくのはまだまだ道半ばであること、家庭や人のつながりを大事にされていることがすごくよく伝わりました。

久理子先生は現在3人のお子さんの面倒を見ながらパートタイムにて復職され、本年は日本プライマリ・ケア連合学会専門医を取得されております。女医でよかったこととして、患者さんが相談しやすいこと、主婦として具体的な生活のアドバイスができる、母子の診察が得意などを挙げていました。さらに、子供をもつことで自分自身の成長を促し、家庭医としての幅が広がったとのことです。ご自身の生活をタイムスケジュールと供に詳細にお話いただいたので、参考となった方はたくさんいたことでしょう。限られた時間のタイムマネージメントは重要で、緊急性と重要性で4分割した表に当てはめて優先順位をつけること、細切れ時間を活用し仕事はなるべくまとめて片付けること、疲れきったらちょっとお酒を飲みながら食事の支度をしたり、ドライブ中に会話を多くしたり、行事を作って家族で出かけチーム力を高めるなど具体的なアドバイスをポイントとともにご提示していただきました。多様な勤務形態に寛容な職場で働ける幸せを、目を輝かせて語って頂きました。
家庭の中から、病院での医療者と患者さんの輪、さらには地域全体の大きな輪へとつながる人生と一続きになった素敵な生き方を教えていただきました。

■松前町立 松前病院 院長
 木村 眞司 先生

札幌医科大学医学部をご卒業後、2年間研修をされ1991年に渡米。米国にて家庭医療科(何でも科)、老年医学を学ばれました。1996年に帰国し、茅ケ崎徳洲会総合病院で、まさに「何でも」診る医療を実践。2000年からは、札幌医科大学に開設された地域医療総合医学講座にて、総合診療科実習を「普通の病院、普通の診療所で、普通の医療を行っている」学外の病院で行うという新しい教育法に取り組まれました。2005年から松前町立松前病院の院長に赴任。「全科診療」や「家庭医育成プログラム」を作成し、generalist向けのインターネット会議「プライマリー・ケア レクチャーシリーズ」の創設・運営など、幅広い活動を繰り広げられています。講演では地方の医療の充実を目指して、若きジェネラリストを育てる病院をつくるという目標が学生のときからあったこと、教えることによって自ら学んでいく姿勢を脈々と受け付いでいくように指導していることなどを示して下さいました。また、たくさんのワンポイント診療を提示していただき、参加者の頭の活性化もおこったようです。女性医師の出産育児の環境については、保育所の改善や病児保育もフレキシブルに対応するしくみを作るべきだと、道への申請書を作成した経験もあるそうです。医学英語教育で大学の授業も担当されている先生からは、地域医療だけにとどまらない総合医の役割について広い視点でお話を伺うことができました。


kouen 後半は講演された先生を囲んで4つのグループに別れてフリーディスカッションを行いました。少人数グループにしたことで、活発なディスカッションができ、自分たちの声が聞き取りにくくなる場面もあったほどでした。15分ずつグループを交代して演者の先生への質問を行いましたが、話がもりあがって15分では足りないとの声が挙がりました。キャリアアップや子育て、環境整備についてのテーマディスカッションは、自分の思っている意見や疑問をつぶやき風にポストイットに記載し、近い意見同士を模造紙に貼り付けるKJ法を用いて行いました。

kouen ディスカッションの内容や個々の意見については別の機会にご報告したいと思います。最後に木村先生に総括していただき、学生さんや医師の家庭や仕事、子育てについての生の声を聞くことでお互いに刺激になったこと、社会に向けて意見を述べたり、それぞれの立場でサポートできることを続けることが大切だと締めくくっていただきました。
会の後の懇親会でも話しは尽きず、場所を変えて2次会へと交流は続いていきました。

2013年11月に日本内科学会は新たな専門医制度として、地域医療や病院診療での総合内科専門医の重要性を踏まえた制度改革を発表しました。ちょうどこのタイミングで、今回のシンポジウムを開催できたことは非常に意義があったと思います。

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