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講演録

:北海道女性医師の会が開催した講演会のご紹介です。
 

これからのキャリアを語る医師と学生の会
『留学の魅力とは?』


kouen JCHO 北海道病院 長井 桂

日時:平成26年11月8日(土)
会場:札幌コンファレンスホール
このシンポジウムは札幌医科大学と北海道大学合同で行っており、今年で4回目となります。今回のテーマは留学であり、4名の先生に御自身の留学体験をご講演いただきました。


■札幌医科大学医学部 泌尿器科学講座 診療医
 西田 幸代 先生

kouen 札幌医大泌尿器科学講座に入局された2年後、京都大学医学部附属病院での研修を希望した時には周囲の多くの医師から否定的な発言があったようです。しかし、そんな意見に悩みながらも教授に相談し、「最高峰の頭脳」が集まった京都大学に飛び込んでいった先生。朝からの濃密なカンファレンス、熱心な指導とともに、患者様、看護師様のために身を尽くして働く教室の先生方に大きな影響を受けたとのお話が印象的でした。
前立腺癌肝細胞の研究にも着手された先生は2009年に札幌医科大学に助教として戻り、北海道の泌尿器科での腹腔鏡手術の指導にも力を入れてきました。開腹手術に立ち会う機会が減った後輩のために今までの動画をまとめたりする作業など、外科ならではのお話を伺うことができました。2人のお子さんを持ち、現在は子育てが中心で勤務を縮小されている時期とのことですが、今後の活動拡大に関して御自身も周囲も期待を寄せていることがよく分かりました。


■北海道大学病院内科1 助教
 菊地 英毅 先生
■北海道大学病院内科1 医員
 菊地 順子 先生

kouen 北海道大学医学部をご卒業後同じ医局に同期として入局されたお二人。順子先生の留学先がボストンマサチューセッツがんセンターに、英毅先生の留学先が同じくボストンのダナ・ファーバー癌研究所に決定します。留学に期待を膨らませていると思いきや、留学先の保育園・学童保育所が1年待ちという困難な状況に陥り結局渡米するまでお子さんの預け先が見つからないという苦境に立たされ、気分が落ち込んだという順子先生。
行ってみると日本人留学生の助けもあり何とかなったそうですが、生活環境を整えるのが本当に大変だったとのお話を身をもって教えていただきました。子供の送り迎え、研究、家事を分担して行った2人のシフトスケジュール、収支も大公開していただき、平日や週末の買い物など、日常の生活がイメージできる詳しい内容は、御夫婦で留学される予定のある方に大変参考になったと評判でした。
順子先生は留学中に3人目のお子さんを妊娠・出産するという偉業を成し遂げおり、アメリカでの出産事情も細かくレポートしていただきました。
日本に帰ってきてからは英毅先生の帰宅時間がどうしても遅くなってしまい、家事を二分にすることはできないでいるそうですが、これからもお二人で協力して臨床と研究を続けていただきたいと思います。


■札幌医科大学 医学部 分子生物学講座 准教授
 丸山 玲緒 先生

kouen 札幌医科大学内科第一講座に入局された先生は、大学院入学後は多くの臨床医が行うように臨床と研究を同時並行して学位を取得されました。大学院では臨床の比率を下げる人が多い中で、どちらも手を抜くことができない先生のお人柄やその苦悩がよく伝わってきました。
その後ボストンのダナ・ファーバー癌研究所に留学となりますが、留学が決定する面接の際も、留学直後のボスとのディスカッションの際も自信がことごとく打ち砕かれてしまったそうです。先生にとっての留学は「日本では味わえなかった最大級の挫折を経験する貴重な機会」となったとのことです。
世界の様々な国の人が混ざり合う研究室は場所や時間の取り合いとなり、どうしても弱くなってしまう日本人が時間をずらして研究を行うということが多かったようです。留学すると、大きな目標以外は与えられず、実験時間も内容も自分で全て決めなくてはならないことから、「いきなり真っ白な時間の中に放り出される感じ」と表現され、研究にとって最も大事なのはテクニックでも知識でもなく「どの方向に進めばいいか決定できること」と、研究者としての珠玉のメッセージを送っていただきました。
帰国後は基礎講座に移り活躍され科学技術振興機構さきがけの研究者も兼任するなど、留学で得られた挫折が大きな財産となっていることを教えていただきました。


■北海道大学 医学研究科 乳腺外科 教授
 山下 啓子 先生

kouen 留学をしたのは911の前の研究が盛んな時代だったとのことで、3年間アメリカUSUHS(Uniformed Services University of the Health Sciences)の御経験をお話していただきました。研究ももちろん、合間に行った小旅行での美しい景色、野生動物などのお話は研究生活への憧れを高めてくれたことと思います。
乳がんというアメリカで高頻度の有病率をもつ病気は、Timeなどの一般向け雑誌にも特集がありアメリカでは市民の乳がんに対する知識が豊富だそうです。
癌関連遺伝子の解析を専門とする先生は、近年治療方法の進歩がめざましいこの分野について熱く語っていただき、まだまだ足りない乳腺外科医への勧めをしていただいています。常に教室員をなにかと褒めてくれた留学先のボスの方針は、北海道大学病院臨床講座で初の女性教授となってたくさんの医局員を導かなくてはいけなくなった先生の良きモデルとなったそうです。ボスとの時間を超え海を越えた留学後のつながりをお聞きして、改めて留学のすばらしさを確認できました。


後半は講演された先生を囲んで5つのグループに別れてフリートークを行いました。
英語はどのくらい勉強すればいいのか、お金はどのくらい貯めればよいか、奨学金を得るにはどうしたらいいかなどの具体的な質問が飛び交い、和気あいあいとあっという間に時間が過ぎました。今後留学を考えている医師や学生さんの不安解消に有益な時間となったと思います。




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