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講演録

:北海道女性医師の会が開催した講演会のご紹介です。

2016二大学講演会 報告書


これからのキャリアを語る医師と学生の会
救急医療スタッフからのメッセージ
~医学部生に知っておいて欲しいこと~

JCHO 北海道病院 長井 桂

日時:平成28年11月26日(土)
会場:北海道大学 フラテ特別会議室

kouen 医師と学生が共同でテーマを考え実行するこの会は平成24年から札幌医科大学と北海道大学合同で開催してきました。今回のテーマは救急医療であり、チーム医療が重要であることから医師だけではなく救急救命士や看護師の立場からもメッセージをいただきました。




●若松 淳 様
 胆振東部消防組合消防署安平支署 警防1係係長
 救急救命士・医科学修士

kouen患者の元へ一番先に駆けつける救急救命士は患者さんの搬送時に必ずお世話になる方です。日本で救急救命士法ができたのはなんと平成3年と比較的最近なのに驚きます。救急救命士は今では病院に搬送するまでの間に気管挿管や補液、電気ショックなどの医療行為を行うことが常識となっていますが、昔はただ患者を搬送するだけで病院搬入前処置の権限が与えられていませんでした。若松様は研修を積み、ITLSやJPTEC、ICLSといった救命措置の数々のインストラクターの資格を取得し指導にあたっています。また、有珠山噴火や出光興産製油所タンク火災、東日本大震災での救急隊として活躍した時のお話や、洞爺湖サミットの警備、ドクターヘリのお話など大変興味深いお話ばかりでした。最近の問題点として高齢化と地域間格差、看取り救急の増加、災害時のメディカルコントロールなどが挙げられました。本当に熱意のこもったお話ばかりで非常に刺激になりました。


●水柿 明日美 先生
 北海道大学病院 先進急性期医療センター 医員

kouen 学生の頃は救急医志望ではなく、むしろ苦手意識があったそうです。全身熱傷の若い患者さんの状態が悪化した時に大胆な処置を行ったところ歩いて帰るまでに劇的に回復した経験がターニングポイントになり興味が湧きます。それでも忙しさや女性の自分でやっていけるだろうかと不安に駆られながら3年目に実家近くの山形県立中央病院救急科での研修に思い切って飛び込んでみたところ「一生の仕事にしよう!」と決心がついたそうです。仕事にやりがいを感じるのは患者さんの状態が良くなるためのお手伝いができたと思えたとき、患者さんやその家族とうまく分かり合えたとき、他科の医師や救急医療スタッフからの連携がうまくいった時とのことです。妊娠後は勤務や外勤を日勤のみに、CTや透視などは他のDrに交代してもらう、DrカーやDrヘリは控える、体調不良で突然に勤務を替わってもらうこともしばしばでした。他の先生に申し訳なく自分の居場所が無くなってしまう感じがしたものの、周りに支えられて乗り越えることができたそうです。現在産休中とのことですが、これから始まる育児中の勤務に対する抱負も語っていただきました。


●窪田 生美 先生
札幌医科大学医学部 北海道病院前・航空・災害医学講座 特任助教

kouen 現在3人のお子さんがいながら救急医として勤務を続けている窪田先生が所属する札幌医大救急医学講座は来るもの拒まず、去るもの追わずというモットーで様々な将来希望の医師を受け入れているそうです。2交代のチーム制で女性は約30%です。救急医であることは意外と女性であるデメリットは少ないこと、マネージメント能力が養われること、シフト制なので子供がいても勤務がしやすいことを教えていただきました。救急医として常勤で子供をもったのは先生が初めてだそうで、前例がないということは逆に自分のやりたいようにできるのではないかという前向きな考えを示していただきました。育児は育自ということで、優秀な家電や緊急サポネットの助けが効果的のようです。現在日勤を中心に仕事中ですが、専門医取得後に出産したのである程度仕事ができて周囲に貢献できる状態だったことが融通の利きやすさにつながったのではないか、いずれにしろ周囲への感謝の気持ちを常に伝えること、できる時に積極的に仕事を引き受けることが重要とのことです。子供がいながら仕事を続けるためには、仕事への強いモチベーション、周囲の理解、環境の整備の三本柱が重要と締めくくっていただきました。


●田口 裕紀子 様
札幌医科大学附属病院 高度救命救急センター 看護師

もともと家族の具合が悪くなったときに救いたいという気持ちで看護師になり、救急部で働きたいと当初から希望していたという田口様。入ってみた救急部では閲覧注意の仰天するような姿の患者さんにたくさん出会って最初はさすがに戸惑ったとのことです。しかし、日々回復していく患者さんを診るたびにやりがいを感じていたとのこと。そして、論文執筆や学習の動機付けをしてくれた救急医や、「人に教える技」を教えてもらった救急救命士の方との出会いも大事だったそう。活躍の場はスポーツ競技大会の救護にまで広がり、この講演会当日のフィギュアNHK杯の競技の救護班として講演会終了後向かわれました。救急医療とはチームの力が最も発揮される初療であり、その現場では医師は自分の能力を知り相手に伝えること、相手の能力を知ること、看護師の名前を覚え名前で呼ぶことが信頼関係を築く上で大事だと教えていただきました。看護師は患者に必要なケアをできるだけしたいと願っていること、そのためには時に慣れていない医師が出した危ない指示は受けないでいるそうです。医師のリスクを減らす重要な対応をされていることから、「看護師は時に医師人生を救う」という名言を残していただきました。これから医師になる方も現在働いている方も強く心に留めて医療スタッフの声を聞いていくことが必須と思います。


●早川 峰司 先生
北海道大学病院 先進急性期医療センター 助教

kouen 救急の歴史は外傷外科救急が発足の起点となっており、その後集中治療や内科系救急が行われるようになり、病院搬入前医療や災害医療、ERの発足などの順で発展してきたそうです。早川先生自身は診療が大好きですが、論文を読むのも書くのも好きという救急部ではやや珍しい存在だそうですが、New England Journal of Medicineのジャンル別論文採択数では救急の論文数は2番目に多く近年の増加率は200%とのことでここ最近いかに救急分野が発展してきたかがわかります。なんと19歳から1歳までの7人のお子さんがいらっしゃるそうで家では炊事洗濯は当たり前、学校行事も9割がたは参加するという猛者でありました。そんな上司がいたから水柿先生も救急部での仕事を続けたいと思えたかもしれません。北海道では救急と集中治療をほぼ分けないで診療していますが、東京や大阪では分かれている事が多く、また総合診療との差別化が決まっていないなどの問題点を教えていただきました。独断と偏見で語る救急医療と称してお話された早川先生ですが、救急の全貌や現在の日本の救急医療について分かりやすく解説していただきました。



講演の後は4グループに分かれ講師の先生に直接質問する機会をいただきました。各グループともに熱の入った議論が続き、グループ移動も予定していましたがあっと言う間に時間になってしまいました。懇親会では学生さんと講師の若松様、早川先生を交えて楽しい時間を過ごすことができました。今回の講演会は本当に濃密で刺激のある講演会であったと思います。来年もよいテーマで講演会を開催したいと思います。

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【11/26 北大】救急医療スタッフからのメッセージ
  〜医学部生に知っておいて欲しいこと〜講演会
  (開催案内)


医師、救急救命士、看護師としてご活躍中の方々から、
救急医療やライフワークバランスについてお伺いします。

11月26日(土)14:00〜17:00
会場:北海道大学医学部学友会館「フラテ」特別会議室
   札幌市北区北15条西7丁目

参加対象:医学生、医師、コメディカル
参加費:1000円 学生無料

*託児の利用を希望される方は、11月17日までに
下記事務局に事前にお申し込み下さい。
*本講演会は北海道医師会の承認を得て、北海道医師会認定講座(3単位)
として開催いたします。単位登録には氏名、医籍登録番号が必要です。

〜講師紹介〜

早川 峰司先生
 北海道大学病院 先進急性期医療センター 助教医師
窪田 生美先生
 札幌医科大学医学部 北海道病院前・航空・災害医学講座 特任助教医師
水柿 明日美先生
 北海道大学病院 先進急性期医療センター医員 医師
若松 淳様
 胆振東部消防組合消防署安平支署 警防1係係長(救急救命士・医科学修士)
田口 裕紀子様
 札幌医科大学附属病院高度救命救急センター 看護師

主催
北海道女性医師の会
北大キャリアシンポジアム実行委員会(代表:左合はるな 医5)
札幌医大キャリアフォーラム実行委員会(代表:渡辺梨花 医4)

共催
北海道医師会/日本女医会/至誠会北海道支部/北海道大学病院/
北海道大学医学研究科/札幌医科大学/札幌医科大学附属病院/
女性医師等就労支援委員会/北海道大学病院女性医師等就労支援室

お問い合わせ先:北海道女性医師の会事務局
        セントラルCIクリニック Tel 011-623-1131

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Link救急医療スタッフからのメッセージ〜医学部生に知っておいて欲しいこと〜(PDF)
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