TOP > 講演録 > 医師の働き方、新発見!~地域から世界まで、フィールドはこんなに広い〜講演会
kouen

講演録

:北海道女性医師の会が開催した講演会のご紹介です。

2017二大学講演会:医師と学生の会 報告書


医師の働き方、新発見!~地域から世界まで、フィールドはこんなに広い~

JCHO北海道病院:長井 桂

日  時:2017年11月18日(土) 14:00 ~ 17:00
場  所:札幌コンファレンスホール
参加人数:25名

kouen 医師と学生が共同でテーマを考え実行するこの会は平成24年から札幌医科大学と北海道大学合同で開催してきました。学生が想像する医師の働き方は、普段学生との関わりの多い病院で患者を診る勤務医だと考えられますが、医師免許取得後の様々な働き方の可能性について理解を深めました。




●佐野 仁美 先生
 札幌市立病院小児科 副部長

kouenトップバッターは10代の頃から国際協力に憧れてきたという佐野先生。国際医療団体(NGO)日本支部を通じ1999年8月 2週間という短期間コソボでの病院復旧プロジェクトに参加した時の経験を話してくださいました。コソボ共和国はヨーロッパのバルカン半島にある内陸国で先生が行かれた時は空爆が終了し、アルバニア人がコソボに帰還したばかりで市内が混乱している状況だったそうです。パリにある団体本部に赴きプリシュティナ病院の Hospital Evaluation を命じられ事務員、医師、看護師20人くらいで一軒家で共同生活を送りました。なんの指示もない。何ができるのか、何を展開するのか、自分ですぐに見つけなければいけないという状況下で新生児部門を担当し、いくつかのプロトコールを残すなどの努力をしたそうです。

あっと言う間の2週間で貴重な経験をしたものの、もっと長期間の参加が必要で、語学力、コミュニケーション力の問題ももちろん「自分で何かを展開する力」が足りないことを痛感されたそうです。「何歳になっても反省や悩みはつきないものですが、何歳からでも新しい分野への挑戦はできるかもしれません」とのメッセージをいただきました。学生さんだけでなく医師となって働いている人々にも心に響くお話でした。


●渡邊 環 先生
 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)
 埼玉医科大学 放射線科 客員教授

kouen 北大医学部卒業後一般外科や心臓血管外科としてのキャリアを積まれた渡邊先生。学位取得後北大分子細胞病理での経験を経てアメリカで研究を行いますが、ECFMG certificateを取得し臨床医としても活躍されます。その際はInterventional RadiologyでFellowとして6年もの間ボストンやフィラデルフィアで勤務されました。これだけでも多彩な経歴に驚くばかりなのですが、なんとその後日本に帰国し米国IVR経験からPMDA医療機器審査へと転向します。PMDAでは、医薬品、医療機器等の有効性、安全性、品質に関する承認審査、市販後の安全対策、医薬品による健康被害の救済を三大業務として実施していることや、最近は日本での審査期間は非常に短くなっていることを教えて下さいました。PMDA職員に求められるのは専門知識をもっていること、コミュニケーション能力、倫理観と正義感であり、これはこれからの医師に求められることとも共通していることであり、チームリーダーとして、臨床・教育・研究に携わる者として必要とのことです。特に「ミスは必ず起こる。どのように対応するかがカギ」という点の重要性について最後にお話しくださいました。完全に行政の職員になったという訳ではなく臨床医としての視点を持ち続けたいという思いから、現在はPMDA勤務と併行して埼玉医科大学放射線科IVR客員教授として臨床にも携わっているそうです。自分がこのような経歴を辿るとは全く予想していなかったという先生ですが、どんな分野でも自身の能力を生かし活躍してきた先生のお話は学生さんにも刺激を十分に与えてくれたと思います。


●秋野 桂先生
 厚生労働省北海道厚生局健康福祉部医事課長

kouen 石井安彦先生のピンチヒッターとして急遽講演を引き受けて下さった秋野先生。人口動態の本質は何か?日本の社会になにを引き起こすのか?という問いで始まった講演は、日本の少子高齢化問題の本質は高齢者が増加するのではなく、生産年齢人口の急速な減少だと我々の誤った認識を解いていきます。さらに、なぜ第3次ベビーブームが起こらなかったのか、それによる家族の支え手の無い人が急増、都市部での高齢者の増加、などの問題点について解説いただき、我々が直面する未来の問題を目の当たりにすることができました。

厚生労働省医系技官という職業について「政策の立案」から「政策の実施」まで、すべての過程に関与していること、プロジェクトを動かしていく行政官にはマネジメント能力と同時に医師の専門性も重要だと自身の進路選択の実際を提示しながら説明をしていただきました。給与や勤務時間、家庭環境への配慮や異動についてまで具体的なお話をしていただいたので、医系技官の道を自分の進路選択の一つとして非常に身近に感じられました。実際もっと早くこのお話を聞いていたら進路として考えたという方もいたようです。厚生労働省では、専門的な知見・経験を有する医師を人事交流として受け入れており、短期間でも医系技官の仕事を垣間見ることも可能とのことでした。派遣元大学等と厚生労働省との相互理解を深めることなどを目的としているそうです。普段聞くことのできない貴重な内容をお話いただきました。


●鈴木 三和子 先生
 社会医療法人孝仁会 北海道大野記念病院 医長

kouen 鈴木先生が働き始めた頃は心臓血管外科医を希望するも、性別を理由に一大学以外北海道では受け入れ先が無かったそうです。やはり女性は少なかったものの、北海道大学医学部循環器内科学講座に入局され当時の標準的な研修医時代を送りました。大学院では心不全の機序について研究され、その後アメリカへ留学。Duke university medical centerではご自身の研究への情熱を遥かに上回る人々との出会いや、海外の臨床医が仕事とプライベートを完全に分けた働き方をしているのを見てやはり臨床医を志すことにしたそうです。しかし帰国後もこちらが聞いても驚くような多忙な勤務生活を送ったことから、公私が明確に分かれるシステムが構築されている社会=海外を目指すことになりました。そこからドイツ語を学び単身でドイツでの臨床医時代に突入することになるのですが、約10年もの間慣れない国で実力を積まれていった先生の努力と熱意には本当に心を動かされました。日独の医療の違いとして医者はサラリーマンであり労働者、病院のトップはビジネスマンであり、医師ではない、開業に人口比あたりの科別ベッド数上限がある、65歳以上の医師は公的医療保険のもとでの医療はできなくなり、私的保険患者のみ診察可などの制度があるそうです。日本の医療にももちろん誇ることのできるシステムがある一方、ドイツの医療方式に学ばなければいけない効率性などの問題点がよく分かりました。現在ドイツでのStatus維持のために年に2回渡独し、うち一回は勤務されているそうです。しかし、現在主治医制のため年365日に近い勤務体制とのことで、日本の社会の仕組みが変わるのにはまだ時間がかかるのだと考えさせられました。


kouen講演の際には活発な質疑応答があり、その後のグループディスカッションでは小グループに分かれ具体的な質問や将来の希望や相談事項などの話し合いを行いました。感想については一言メッセージを集めたものをご参照ください。今回も非常に充実した会であり、参加した方の満足度は非常に高いものでした。



Link

医師の働き方、新発見!
〜地域から世界まで、フィールドはこんなに広い〜


テーマは「医師の働き方、新発見!〜地域から世界まで、フィールドはこんなに広い〜」と題し、医師免許取得後の様々な働き方の可能性について考える企画となっています。

【企画概要】
日  時:2017年11月18日(土)14:00~17:00
場  所:札幌コンファレンスホール
     (北海道札幌市中央区南2条西2丁目10 富樫ビル6F)
参加人数:70-80名程度(医学生・医師・コメディカルスタッフ)
参 加 費:学生無料、医師・コメディカルスタッフ1000円

【内容(講演者)】
鈴木 三和子 先生 社会医療法人孝仁会 北海道大野記念病院 医長
渡邊 環 先生   独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)
石井 安彦 先生  北海道庁保健福祉部医療政策局 医療参事
佐野 仁美 先生  札幌市立病院小児科 副部長

詳細はチラシをご覧ください。

Link
Link医師の働き方、新発見!
〜地域から世界まで、フィールドはこんなに広い〜(PDF)
kouen


Link
Link講演録トップ [ 目次 ] ページへ戻る

pagetopページTOPへ
COPYRIGHT@HOKKAIDO MEDICAL WOMEN'S ASSOCIATION. ALL RIGHTS RESERVED.